ふらっと気ままな 会社の数字

安定した経営をしたい人のために向けた発信する会社の数字あれこれです。

すごいぞ。純資産の部!!

こんにちは!

ほたかです。

 

今回は、『純資産の部』について考えてみたいと思います。
以前は、『資本の部』と言われていました。

 

f:id:hotaka-kun:20181004173101j:plain


絵にするとこんな感じです!
貸借対照表の右下にあたる部分が純資産の部と言われるところです。

 

 

 

 

会計が苦手な人にとっては、
最もとっつきにくいところになると思います。

 でも、会社を安全運航させていくための秘訣
純資産の部に隠れているのでここは是非理解していきましょう!!

 

純資産の部のお話しの前に、
さらっと貸借対照表についておさらいをしておきたいと思います。

 

貸借対照表は、
資産の部、負債の部、純資産の部の3部構成ですが、
それぞれが何を表しているかというと次の通りです。

 

  • 資産の部 ⇒ 現金などの支払手段と固定資産などの商売道具が記載されている
  • 負債の部 ⇒ 足りない現金や固定資産を購入するのに自力で用立てることが
           出来なかった分が記載されている。
           経営がしんどくてもキャッシュアウト(返済)が発生する。
           もしものときでも、返済義務がある。
  • 純資産の部 ⇒ 資産と負債の差額。
            会社が清算した時に分配されるであろう金額が記載されてい
            る。黒字になれば増え、赤字になれば減る。キャッシュアウト
            を強制されない。もしものときは、分配を免れる。

 

 

 

こんな特性のある三者です。

 

資産の部は、現金などの支払い手段や商売道具が記載されているわけです。
商売をするのに必要だから準備したものですよね。
そうすると、会社としてはずっとこれをキープしておきたいということになります。(ここでは、減価償却の考えは横においておきます)
イメージで表すとこんな感じになります↓↓

 

f:id:hotaka-kun:20181004173103j:plain



  

どうですか?

資産の部からしたら、この形をキープするのがベストになりますよね。
支払いに使う現金が減っても、商売道具が無くなっても困るわけですから(^-^;

 

 

次に貸借対照表の右側ですが、
こちらは負債の部と純資産の部の2階建てなのでセットで見てみたいと思います。

 

負債の部はキャッシュアウトが強制で、
純資産の部はキャッシュアウトが強制でないということなので
時間の経過とともにどのように変化するのか見ていきましょう。

 

3つのパターンで見ていきます。

 

★純資産の部が一定の場合
 (収支がトントンの場合)

f:id:hotaka-kun:20181004173106j:plain

 

収支がトントン。つまり黒字でも赤字でもない状況です。
税引後利益がゼロという状況です。
中小企業では納税を避けるために、 利益が出ないようにする行為がよく行われます。

税引後利益が増えないと、純資産の部が増えも減りもしません。(※)
一方、負債の部(借入金)は、黒字でも赤字でも関係ありません。
会社の業績に関係なく返済は進むので、負債の部はどんどん目減りしていきます。

 

2階部分は減少、1階部分は増減なし。
そすると、資産の部は当初の規模を維持できません。
具体的にイメージすると、借金の返済分だけ現金が減っている状態です。

 

ここから分かることは、金融機関への返済がある場合において、会社が利益を出していないと会社はその分だけ資産の処分(減少)を強いられることになるということです。
それは短期的には手元現金の減少を意味し、中長期的には固定資産売却による資金調達を強いられるという事になります。

ここで疑問があるかもしれません。

「うちは、返済はあるけど、利益出ていないよ。それでも、固定資産の売却をしてまで資金を工面したことはないよ。たしかに現金は減っていくけど・・・」と。

 

現実の世界では、純資産が一定、負債は減っていくという場合において、資産の部の規模を維持するために、減った分だけの負債を増やしているんです。
返済しながら、借入をしているという状況といえます。

 

半分くらい返済したところで、当初借入金額で借りなおす。 
借金がなかなか減らない、中小企業によくあるケースだと思います。

 

 

 

 

★純資産の部が増加している場合

 (黒字の場合)

f:id:hotaka-kun:20181004173110j:plain

 

2つめのケースは、純資産の部が増えているケースです。
毎期、黒字(税引後利益がプラス)を出している状況と言えます。


上の例でも説明しましたが、負債の部は会社の業績に関係なく減っていきます。
このイメージ図を眺めてみると、純資産の部の増加と負債の部の減少が一致しています。それにより、当初の資産の部の規模をキープできている状態です。

 

貸借対照表の均衡が保たれている状態といえます。

 

このイメージ図から読み取れることは、
借入金の返済をしている会社は、黒字経営が必須ということです。

 

 

 

 

 

 

★純資産の部が減少している場合

 (赤字の場合)

 

f:id:hotaka-kun:20181004173108j:plain

 3つ目のケースは、赤字経営のケースです。
赤字経営ということは、純資産の部が減少している状態です。
負債の部は、会社の業績に関係なく減少していきます。

 

借金をしていて、赤字であるということは、
貸借対照表右側の1階部分と2階部分の両方が縮小している状況です。

 

収支がトントンの場合は、1階部分はキープされていて、
2階部分だけが縮小している状況でした。
赤字の場合は、ダブルで縮小していきます。

 

資産の部は、縮小圧力に泣けてきそうです(^-^;
資産の部は、支払手段たる現金と商売道具たる固定資産で構成されています。
まさに大切な資産です。
これがなければまともに商売が継続できません。

 

借金を抱えていて、赤字経営という状況がどのくらい深刻な状況であるか想像していただけたと思います。

 

 

 

 

赤字経営の状態での、借金は首を更に絞める!!

 

 

赤字になると銀行借入をお願いする中小企業は少なくありません。
何故、赤字になると借入金をするのか?
赤字でお金が無いから借りるというのは、表面的なことであり、
本質的には、純資産が目減りすると、負債を増やさないとやっていけないから、
ということがこれまでのなかでご理解いただけたと思います。

簡単に整理すると、こんな感じです↓↓

 

赤字 = 純資産の部が減少 ⇒ でも資産の部(左側)はキープする必要がある ⇒ 純資産で維持できないなら、負債で維持しよう

 

それから1年・・・

 

また赤字だった ⇒ さらに純資産の部が減少 ⇒ やっぱり資産の部はキープしたい

⇒ じゃ、今年も純資産が減った分だけ負債で賄おう

 

これを繰り返していくと、どんどん負債の比重が高くなります。
負債は、会社の業績に関係なく減っていくのは上述の通りです。
負債が多くなれば、目減りスピードは大きくなります。
負債の部の強制的な減少を補うのが、純資産の部の本来の役目なのに、
赤字経営はその純資産が足を引っ張ているのです。

 

借入金をしなければならなくなった原因(赤字の原因)の対策を立てることなく、早々に借入をすると立て直しのチャンスを失ってしまいます。
何故かお金が入ると、そのお金が借りてきたものであり、いつか返さなきゃいけないものであっても気がゆるんじゃうんです。

 

変わらなければ何も変わりません。

 


中小企業の赤字の原因は、収益力の影響もさることながら、
『どんぶり経営、公私混同経営』の影響が多いにあると認識しています。

 

納税に対する嫌悪感が根底にあるのだと思います。
『どうせ取られるなら、使っちゃえ』
こういう気持ちから、どんぶり経営、公私混同経営が生まれているのだと思います。

 

そこで、歯車が少しずつ狂い始めるわけです。
とくに、この右肩下がりの時代においては、、、

 

 

 

まずは、節税なんて言葉を忘れることです。

黒字化するマインドが無くなるからです。

赤字癖になると言ってもいいかもしれません。

『税金は払いたくない、でもお金はいるから銀行にお願いしぃ~よぉと。』

こんな考えでは、負のスパイラルまっしぐらです。

 

 

節税の前に節約をしてください。

とにかく無駄な経費など使わずに、純資産の部を最大化することを意識する。

これは、経営者の視点が変われば可能です。

 

損益計算書視点の経営から、
貸借対照表視点の経営へチェンジするだけです!!!!

 

純資産の部は、貸借対照表にあります。
加えて、経営者が気にかけるキャッシュ・借入金という情報も
貸借対照表に載っています。

 

この純資産の部、あるいは貸借対照表を意識して、
これをどう最適値にコントロールするかという意識付けができれば、
必ず今までとは異なる意思決定が行われます。

 

損益計算書視点の経営は、
非上場のオーナー企業である中小企業には弊害しかないように思います。
上場企業であれば、気になるのは黒字額。
非上場の中小企業だと、気になるのは納税額。

 

スタートラインで向いている方向が反対で、
スタートの合図とともに反対に向かって走っているのが両者なんです。
これでは、差が開く一方です・・・

 

上場企業であれば、損益計算書を見ていても黒字最大化(純資産の部の増加)の意識が働きます。株価に影響するので当然と言えます。(これはこれで、粉飾という誘惑にかられますが)

中小企業となると上場企業と反対で、納税が嫌で黒字幅縮小化に奔走になります。結果、いつまで経っても貸借対照表が安定しない。負債に頼りきりになる。やがて、その負債が重しの様になって苦しめられる・・・。貸借対照表を意識して最善策をとっていればこんなことにはならないはずです。

 

 

こんなことから、月次報告を受ける時、決算書を読む時には、貸借対照表の状態や変化をじっくりと読むようにしてみてください。今までとは変わった気づきが得られますよ。